福生の人物

細渕勘次郎(ほそぶちかんじろう) −ミキノクチ作り職人−

 ミキノクチはお正月の縁起物で、お神酒の徳利の口に飾ることからこの名があります。ミキノクチは全国的に分布していますが、材料は木、竹、金属、紙などさまざまで、その形状にも地域差が見られます。福生市のミキノクチは竹(補助材として紙と麻ひも)で作られています。

 明治30年(1897)、福生に生まれた細渕勘次郎は、ミキノクチの製作技術を調布の布田五宿から伝承した祖父の伊之助と兄の力蔵から学びます。製作をやめようとしたこともあるそうですが、「神様にお供えするつもりで作ってくれ」という兄の言葉で思いとどまったといいます。製作の最盛期は大正期から太平洋戦争前で、行商も行なっていました。しかし戦争中は材料の竹が軍に供出されたことから生産量が減り、行商はやめています。

 勘次郎はミキノクチの形状に工夫を重ね、その技は孫の昌一氏に伝えられました。この貴重な福生の伝統技術は、現在「ミキノクチ製作技術」として福生市登録無形民俗文化財となっています。

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