福生の人物

野島喜代松(のじまきよまつ) −伊勢へ旅した熊川の村人−

 江戸時代の庶民の旅といえば伊勢神宮へ参詣する伊勢まいりが代表的で、日本各地から多くの人々が参詣に訪れました。安政4年(1857)正月7日、熊川村の野島喜代松は伊勢まいりに出発します。東海道を通り伊勢に参詣した後は、奈良や大阪・京都を見物します。そして中山道を通って善光寺に参詣し、熊川に帰りました。48日間にわたる大旅行でした。

 喜代松はこの伊勢まいりの旅日記を記しています。旅先で参詣した神社やお寺、見物した名所のほか、宿泊した旅籠や食事処の値段、よしあしを記録しています。宿は上々吉・上々・上・中・下・下々の6段階に分けられていました。喜代松は熊川に帰った後、この旅日記を清書しています。「道中日記帳」とかかれたこの旅日記は、次に伊勢まいりに行く村人にとって貴重なガイドブックになったようです。

 喜代松がのこした道中日記や旅先から持ちかえったお札などは、江戸時代の庶民生活のわかる貴重な資料「野島家所蔵文書」として、福生市指定文化財となっています。